浜松市の解体屋さん ヒロ コーポレーション
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第3話

カテゴリー │クレオと社長の人生


その当時、
家族としていつもパトラ中心の生活を送っておりました。
入院でパトラ不在の夜は本当に心配で耐えがたい長い夜を迎えた訳です。


寝付かれないまま心配な朝を迎えました。
病院に、パトラの好きな鶏肉を持って行く事にした。
早朝からボイルにかけているとパトラの喜ぶ姿が鍋に浮かんで来た。
車に積んで家を早々に出発してパトラの所にきたが
病院はまだあいてはいなかった。
時計を見ると8時だった、長く感じた。

1時間ほど待っているとカーテンが開いた。
ようやくパトラの所に案内され、その後について階段を上り始めて行くと、
なにか声が聞こえてくる。

「あっ!」
次の瞬間その声は間違いなく、パトラの呼声でした。
『お父さん、お父さん、早く速く来て』
私はそのように聞こえてなりません。
パトラは私の足音を小さなゲージの中から耳を澄まして待っておりました。
急ぎ足でパトラの入ったゲージの前に着くと、
またいちだんと大きな異要な声を出して
『お父さん』と私に叫んでおりました。
どこから、そんなに大きな声が出るのでしょか、
パトラを見ると、目には涙が潤んでおりました。
その時初めて、犬でも本当に辛いことや嬉しい時には、
涙を流す事を知った訳です。

私も一所懸命に「パトラ、パトラ」と、呼び聞けて
細い格子の間に手を入れて、目元の涙をふいてやりました。
「パトラ、早く病気をなおそうね」
と頭や顔を撫で始めると、私の眼をよく見て、
まばたきもなく、何か私に伝えたい意地らしい、しぐさで
『クンクンウヲオー』と泣き、
『早く此処から出してはやく、はやく』と
叫んでいるような気がしてなりません。

さっそく、好物の鶏肉を与えても食べる意欲はありません。
「パトラどうしたの、さあーさあお食べ.元気がでるよ」
全く食べてはくれない。

ある日突然このような耐え難い入院となり、
昨日までの自由な生活とは違い
このゲージの中は身動きもままならない程小さいスーペスである。
「どうして私が」と全く理解ができず、
不安と恐怖の一晩は
パトラに、精神的かなりのショックを感じさせ
そして体調も優れず
酸素吸入完備の特別室とは
名前ばかりではありませんか・・・。

パトラ共々私そのものがショックだった。
誰しも思うイメージは酸素吸入完備とか申されるとつい
人間社会の病室が頭に浮かんでくる。
動物病院の病室がこの様、
なお粗末なゲージとはギャプの開きが
あまりにも大きくショックだった。



命がかかる緊急入院でパトラの顔を見ていると、
本当にこの病院で とか不安になり心配になってきた。

状態は悪くパトラは好きな鶏肉に興味もなく見向きもしません。
私の顔を見て「ウヲオー」と鳴くばかりで、
大食の娘が好物の鶏肉にも興味も示さず私は本当に心配になり、
変な胸騒ぎを感じた事を今でも覚えている。

今後のパトラの事を考えながらパトラを見ていると、
院長が来て、『伊藤さん』と私に声をかけてきた。
パトラの病気の説明がしたいと案内された。

院長室に入って話を聞く事にした。
『今のパトラの命は大変危険な状態が続いています、
 よろしいですか。
 病気としては血管の中に
 コレステロールの様なものがブヨブヨに詰まり、
 心臓の血管や弁の附近に付着して、
 血液が通状通り流れる事が出来ていません。
 現時点が非常に危ない危篤状態です。
 治療の方法は点滴と注射でコレストロールを溶かし、
 血液が良く流れるような治療をしてみますが
 その治療にはリスクが高く危険が伴います。
 この治療の方法しかない』
と説明を受けた。


今となっては信じる他に術はない。
毎日寝起きを共にしてどうして気がつかなかったのか、
頭の中が真っ白になってきた。
そして、
願わくは神様が犬達にも言葉を与えたならば
どんなに救われる事かと思った。
語ることが出来ないばかりに、
この状態になるまで我慢をした娘を見ていると、
心が痛くなって来た。
今危篤状態のこのパトラを、
こんな小さなゲージの中に押し込み、
1日2万の入院費に疑問と
かすかな不安が走り始めた。

そして何一つ命の保証もない事の
やりきれなく淋しい思いがしてきた。
病気が治れば安いものではあるが、
運は天にまかせ、ただ回復と祈願するばかりであった。

リスクが高くても危険な治療でも同意する他に術はない。
平成17年4月3日の事だった・・・。










つづく・・・



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